<あらすじ>
不慮の事故により、昏睡状態に陥った美人バレリーナのアリシア。そのアリシアに一方的な好意を寄せ、献身的な介護をし続けている看護士のベニグノ。事故に合う前、2人は一言だけ会話を交わしたたげの関係だったが、しゃべれなくなった彼女を前にベニグノはこれまで伝えきれなかった愛情を捧げていく。しかしその一方的すぎる愛情の行き着く先には…。
そしてこちらにも闘牛の競技中の失敗で、昏睡状態になった女闘牛士リディアと恋人マルコ。会話すらできなくなった彼女を前に悲しみに暮れるマルコだったが、同じ病院で出会ったベニグノと打ち解け友情が芽生える。マルコは一方的な愛情を捧げることに困惑するが、ベニグノとの関係により少しずつ変わっていく…。
【公開】 2002年
【時間】 113分
<評価 ★★★★ 4>
ペドロ・アルモドバル監督作品の中で、女性賛歌三部作と言われている…母親の優しさ・偉大さを描いた「オール・アバウト・マイ・マザー」、女性の強さを描いた「ボルベール」、そして男性目線から女性の美しさ・愛情を描いたこちらの作品「トーク・トゥー・ハー」。どれも評価が高いことが納得できる傑作。
会話ができない相手に対して、いかに気持ちを伝えるか…。一方的すぎるベニクノと伝わらなさすぎるマルコ。両者の葛藤が垣間見えると共に、なにもしゃべらない女性たちの存在感がすごい!!アルモドバル監督が女性の強さと美しさを描かせたら世界一と言われているのも納得だ!!!!
それに対して、男性が不器用すぎる。高値の花だった女性が昏睡状態に陥ったことで急接近するなんて、ちょっと異常だなぁと感じたが、女性をまるで高価な芸術作品のようにいつも綺麗に、大切に扱う素振りに感動させられる。そして不器用な男その2…こちらはさっきと比べると、まるで何もできない男。しかし実はとても繊細で優しい人。音楽や映画、蛇を殺したときでさえ涙を流すほど純粋!!そしてその不器用な優しさを感じ取れた時、とてもせつなくなってしまう。
最後にこの映画のポイントとして、映画の端々に出てくる演劇や歌、映画のワンシーンによって恋愛の物悲しさを表現しているところにも注目してほしい。