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マレーナ

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malena

<あらすじ>

1940年イタリア・シチリア島。戦争が始まり、結婚して間もない夫が戦場に行ってしまったマレーナ。村一番の美女は、周りの男からの誘いに惑わされることなく、ただひたすら夫の帰りを待つけなげな女性。そんな彼女に恋をした少年レナート。高値の花のマレーナを遠くから見つめるだけの存在…。しかし終戦を向かえた頃、マレーナに届いた最悪の知らせ…。そこから悲劇的な運命に曝されるマレーナとそれを見守ることしかできない少年レナートの心の葛藤を美しく描いた傑作。

【公開】 2000年

【時間】 92分

 

<評価 ★★★★ 4>

ニューシネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」のジュゼッペ・トルナトーレ監督作品。泣かされる映画ではないが、それ以上の感動と余韻を与えてくれる傑作。

映画の冒頭に出てくる少年が蟻を虫眼鏡で焼き殺すシーンが、この後の展開を物語っておりゾクっとさせられる。自分の力ではなく、太陽の光を熱に変えジワジワと苦しめていくこの行動は、まさにこれからマレーナが曝される悲劇とリンクし、人間のダークな部分の恐ろしさが伺える。

そしてこの映画の素晴らしいところは、主人公のマレーナとそれを見守る少年レナートとの絡みがほぼないこと!一見、少年の淡いラブストーリーなのかと思いそうだが、それは大間違い!最初は色気プンプンのマレーナを思春期の男子目線で見ていたレナートだったが、村の大人たちの欲望や憎悪・嫉妬心などを一身に受けるマレーナを見ているうちに、少年だった心が大人の男へと変化していく。きっと彼は今後、弱いものを卑怯な手で痛めつけることはしない人間になるだろうという希望が見える。この繊細な心理描写には脱帽!それと同時に流れてくる音楽もまた最高の演出をしている。

終盤に出てくる村人のリンチに合うマレーナを演じるモニカ・ベルッチの迫真の演技は圧巻。今まであんなシーンは見たことがない…。素晴らしい演技だった。