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千と千尋の神隠し

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sentochihironokamikakushi<あらすじ>

転校を余儀なくされ、ふくれっ面の少女・千尋。新しい家に向かう途中で見つけた怪しいトンネル…。その先には不思議な世界が広がっていた!両親を豚にされ、帰り道を失う千尋に救いの手を差し伸べる少年・ハク。果たして千尋は両親と一緒に元の世界に戻れるのか!?そして最後に明かされる驚きの事実とは…?

【公開】 2001年

【時間】 124分

 

 

<評価 ★★★★★>

ジブリの作品はどれもユーモラス且つ監督のメッセージが感じられる素晴らしいものばかりだが、この『千と千尋の神隠し』もまた名作の一つだ。

作品の発表当初は、ファンタジー気質が高く「となりのトトロ」的な感じなのかな?と思っていたが、内容はまったく子ども向けではない。もし千尋と同じ年くらいの子どもがこの作品を理解していたら「スゴイ!」と思う。

というのも、自分自身“初見”では理解できなかったからだ。千尋が迷い込んだ世界は一体なにを意味しているのか?なぜ両親だけ豚にされたのか??…などなど疑問は尽きなかった。

しかし何回か見ていくうちに、この物語を通して監督が伝えたかったことが少しずつ分かってきた気がする。

「転校」という小学生にとっては、重大な問題を抱えた千尋はやはり普通の子ども同様、これから始まる新しい環境への不安と今までの思い出に浸っているような状態。この気持ちはよくわかる!それに比べて、両親は新居への引越しに少々浮かれた様子。この両親の態度はまるで子どものような大人といった感じで、宮崎監督の大人たちへの批判のように感じられる。そして迷いこんだ世界で、欲望に負けてしまった両親は豚にされ、その状況から逃げようとする千尋は消えかかってしまう。しかしそんな千尋に手を差し伸べてくれたのが、少年・ハク。彼は千尋の存在を証明し、彼女がこの世界で生きていくための術を教えてくれるのだ。「ここで働かせてください!」何を言われてもそう言え!と言ったハクの言葉に心打たれた。人間はどんな状況でも一生懸命働かなければダメなんだ!という強いメッセージが感じられる。最初は何をしてもダメだった千尋だが、この不思議な世界で助けられながら生きたおかげでとても強くなった。“人間”というだけで嫌がられる世界で、礼儀や感謝をすることで認められていく姿はまさに社会そのもの!最後にハクが「振り返らずに行って!!」というシーンがあるが、これは過去にとらわれず前進して!という応援に聞こえる。そして元の世界に戻った千尋。夢から覚め少し物悲しくなるが、千尋の髪飾りがキラっと光り、決して夢ではなかったこと=成長したことが感じ取れる。

本当に素晴らしい作品。大人にはぜひ見てもらいたい!!!!