<あらすじ>
世界征服を目論むヒンケル。しかしあろうことかユダヤ人迫害のため突撃した床屋には、ヒンケルとそっくりのユダヤ人が!!ひょんなとこからヒンケルの替え玉化した床屋のチャーリーだったが、最後の人民の前での演説は、当時チャップリンが全世界に発信したかったであろう渾身の内容。
戦争がいまだ耐えない時代に、もう一度見るべき作品。
【公開】 1940年(日本公開は1960年 ※戦争中のため)
【時間】 120分
<評価 ★★★★★ 5>
この映画はチャップリン映画最初の全編トーキー映画。そこまでしてチャップリンが伝えたかったことが、映画の最後の演説で伝わってくる。
物語は悪名高き独裁者”ヒンケル”とヒンケルに瓜二つの床屋さんチャーリーが繰り広げる、戦争を風刺したコメディ映画。独裁者ヒンケルは誰が見ても、第二次世界大戦でユダヤ人を迫害したドイツ軍・独裁者のヒットラー。チャップリンが伝えたかった「独裁者の滑稽さ」や「戦争の愚かさ」が感じられる。その中でも好きなシーンは、隣国の侵略計画のため呼び出した近隣国バクテリア(イタリア)の独裁者(ムッソリーニ)との茶番!!!自分が優位に立つ為に繰り広げられる行動は、まさに子ども!爆笑!!!
そして最後の演説は感動的!チャップリンがこの映画を通して伝えたかったのはもちろん戦争反対への思いだが、なぜ戦争が愚かなものなのかという根本をこの演説の中で主張している。人生の素晴らしさと人類愛の美しさこそが人間に与えられた尊厳であるとチャップリンは教えてくれる。
しかし1940年の公開から70年近く経った今でも、この演説が心に響くのは未だ戦争がなくなっていないからなのではないか…。この映画が本当の意味での“コメディ映画”になる日がくるのを祈りたい!!!